駅までの道を、歩いていた。 暗くなるにつれ、人が次第に増えてくる。 全てが、流れにとけ込んでいた。 時折、信号待ちで渦を巻いて立ち止まる。 そうして結局、みな同じ方を向き集まって波をつくっていた。 そして息苦しさから解放され、帰巣本能のままに、…
今朝、意外に気温は低くない。車も走り出していた。 空き地は、雪が一面に残り真っ白いまま。 道路は、車の通った跡が筋となってアスファルトが見え始めている。 白い雪は、灰色の氷になり、少しずつ溶け出して黒い筋を作っていた。 滑らないように注意しな…
インターネットの地図アプリで、能登半島を見た。想像してたより、大きな半島だった。 房総とよく似ている。縄文時代の痩せ細った半島にそっくり。 プロペラの羽を180度回した反対側の海に突き出た関係なんだな。 それで、佐渡島が、伊豆半島にあたるのだ…
「ティティティティティティ」「ブウォッ」 点火した。ヤカンをコンロにかける。 「ティティティ」「ブウォッ」 そおっとレバーを右へ、トロ火に設定する。 冷蔵庫から卵を二つとベーコン取り出した。 卵を2つ割って、プライパンへ投入する。同じくベーコン…
信号待ち。目にとまった花。小さな木に、いくつか梅の花が咲いていた。 小さくても時を刻んで、季節通りに咲いている。 桜は大丈夫だろうか。今年は、季節通りとはいかないかもしれない。 早咲きか。それが、暖かい季節への目印ならば、今年は早咲きがいい。…
携帯で、パレスチナの子供の映像を目にした。 そこは、進行形の殺し合い空間。涙した。マスクを目元まで上げる。 簡単な話「人を殺しちゃいけない。」と理解している。 いや、本当は理解していないのか。私は、いつも遠い地域の他人ごとだ。 私は、目の前で…
5:30 仕事を終えた駅までの道、人影はなかった。 昼間は見せない静かな広がり。辺りは暗い。 通り過ぎるコンビニだけが、切れ目のない勢いのある光を放っていた。 地下鉄の改札、出勤する人が数名でてくる。 階段を降り、電車に乗り込んだ。意外にも乗客…
「トトトッ」「タッ、タッ、タタ」、 「タッテ、タッテ、タッテ」「ポツ、ポツ」 目覚めから、雨の音がしている。私は、しばらく聞き分けていた。 「それ程強い雨ではなさそうだ。」 意識がはっきりしてくる。カーテン越しに明るさを確認した。 目覚ましに手…
「太陽、おはよう。」 私は、年末に買ったシクラメンに声をかけた。昼間は、室内から外へ出すことにしている。 私は、鉢を持ち上げた。虫がいないか蜂の下を見上げる。葉に隠れた次の蕾の大きさを覗き込んだ。順番に並ぶ小さな蕾達をみて、成長を感じ、喜び…
テーブルの上に、何の変哲もなく、チーズ入りのパンがあった。 無条件に、袋から取り出す。見た目通り、チーズの香りが漂う。 ちぎりながらパンを頬張る。塩気、バターの風味、オイシイ。止まらなくなりそうだ。 「なぜ、テーブルの上にパンがあるのか?」 …
今日は、青空が広がっている。陽気に誘われて昼過ぎに散歩に出かけた。 日光が届かない場所は、少し雪が残っている。溶け出した水がアスファルトの上で凍っていた。反対に、日向は日差しが強く暖かい。太平洋側は、気候に恵まれていた。 土手に上がって遠く…
雪が降り始めた。 14時45分に、嫁と一緒に車に乗る。外は予定より早く、みぞれ混じりの雪となった。 15時、実家に着く。「ただいま。」「もう、出かけられる?」 「行けるよ」と準備万端。こちらが遅刻しないで何より。 今日は、母親の誕生日。私は「…
「お酒はぬるめの」、「燗がいい」 電車で何度も心に舞い戻る、舟唄。青藍色のイメージで決まった映像付きです。 歌詞、テンポ、そして情景が脳裏に刻まれていた。 イントロも、それが出だしから、特別に惹きつけられることも覚えている。 思い出すと頭から…
今日は、お年寄りに席を譲る機会をいただけて、久しぶりに実行した。良かった。 電車で、お年寄りに席を譲るとき、私は例外なく心地が良く、幸福感につつまれた。 私は、席を譲ることができないときがある。後で決まって、罪の意識を感じた。 そうなることが…
神宮近くの駐車場に車を駐め、鳥居まで歩いた。 鳥居は、遠くから見てもはっきり見え、笠木が空に反り返っていた。神の領域を主張するように威厳がある。 鳥居に着き、その脇で一礼した。大勢の参拝者。その流れに並び、手水舎で手水をとる。 本殿前で行列に…
窓から見る青空に誘われて、午後から散歩する。散歩のコースは、土手を歩くことにした。 途中の道は、交通量もすでに普通に戻りかけていた。正月も終わりか。 余韻も残さず、過ぎ去った。社会は、切替が早い。 らしさを求めて土手へ向かった。 土手を登る。 …
「ただいま。」と言いながら、玄関を入る。外から帰った体は、少し熱を感じてた。 階段を駆け上り、2階のソファに座る。窓から入る陽の光が顔に当たる。「ふっ」と息をはく。 体は少し前屈みに、緊張感が解けた。背中から腰かけて感じる重荷から開放される…
空は青空、遠くの方は白みがかっている。湿度は高いようだった。日陰に入るとやはり寒いが、日向では暖かい。 散歩に出かける。いつも通らない道を選んで歩いた。踏切を渡り角を曲がった、その先に空き地が広がっていた。 広場の奥の日当たりの良いところに…
細かな気泡が鍋底に現れた。そのうちいくつかが、上に上がってくる。そして、表面に無数の気泡が覆い尽くすのを確認した。 お決まりの現象、ぐらぐらした音を聞くまで観察、それで満足。 蕎麦をほぐしながら、中央に投入した。麺が鍋の中で上下に回転を始め…
シェヘラザードという大好きな曲がある。初めて聴いたときから、心惹かれる綺麗なメローディだった。 編成する楽器間の掛け合い、そこが物凄く好き。流れるような掛け合いがある。軽やかなのに重量感、威厳を感じた。 この曲は、シャヘラザードが殺させれな…
日を背にして歩いていると、ジリジリ背中が熱かった。寒いと思って外出てみたが予想外の一日です。 坂道で、マフラーの下は息苦しい。呼吸を受け止めたマフラーの下、水滴が付いていた。 目的の店、少し手前、closeの文字が目に入る。目的を果たせず戻る道、…
ブログに、寒い朝を書きたい。寒さを強調する言葉を並べたかった。定番でもいい、単純な冬らしいやつを。 ホントに、残念。今日も、すんなりと起きてしまった。やっぱり、さほど寒くない。懸命に探した霜柱の形跡。 技術も進化、着てるもの暖かなもの。辛く…
「たっ、たっ、たっっ。」マスクが苦しい。息が上がり、踊り場で速度を緩めた。 誰も見てないのに、どことなく悔しい。 足に力を入れ直した。「たっ、たっ、たっ。」残りは、石段を掴むように駆け上がる。 マスクからもれる息がメガネを曇せた。急な階段を登…
赤い警標が光だす。「カンカンカンカン」少しおくれて警告音が鳴り出した。 一拍おいて遮断機が降りて、最後に電車が通過。 流れのなかの動き出し、それは息継ぎの間。基本に忠実な選手の精密なバトンパス。 踏切は、毎日毎回リズムを刻む。それは裏拍からは…
子供の頃、両親が共働きで鍵っ子でした。学校が終わり家にいる時はテレビをつけて過ごす。そんな毎日でした。意識してなかったが、それで、落ち着くし癒されていた部分があった。テレビ大好きな人です。 最近、あまりテレビ見なくなった。それでも食事時など…
私は、誤魔化したくなったり、誤魔化してしまうことがある。そんなときの多くは、ひとの目を気にしていた。 気にするあまり、プレッシャーを感じ、反対を選ぶ。それは、バレなきゃ良いという気持ち。明るみに出なければよいという話ではない。知られないとき…
数年前、テレワークが定着して、時間的余裕があったので、古事記の本を買って読んでみました。恥ずかしいのですが、日本最古の書、ほんと、よく理解してませんでした。読む機会に恵まれ、基本的な知識が得られたこと誠に幸せ。 それぞれの内容は、モチーフと…
夜9時、青白い街灯に照らし出される街路樹を見ながら帰る。葉はつていない。天に向かって、たくさん枝が広がってた。高いの、細め目なもの、寄りかかるもの、ひとつひとつ個性がある。シルエットが素晴らしい。生きずく形だった。 見上げると、光を求めた道…
朝、5時30分、近所迷惑を気にして、控えめに、シャッターを開ける。空は暗かった。私は、この寝起き一番の空の明るさで季節の変化を感じている。 くろぐろした空が、だんだんとしらみ始め、光を帯びてくる。少し離れた場所の輪郭がはっきりしてきた。いつも…
散歩に出た。風が強かったが、青空の広がりで気持ちいい。景色の見え方は、冬、特にお正月に感じる色と同じだった。 遠くの山々が、空に溶け込んでいる。私は、山に登ることも、好きだ。もっと好きなのは、冷えた空気のなか、遠方の長く連なっている山々。勢…