交代
5:30
仕事を終えた駅までの道、人影はなかった。
昼間は見せない静かな広がり。辺りは暗い。
通り過ぎるコンビニだけが、切れ目のない勢いのある光を放っていた。
地下鉄の改札、出勤する人が数名でてくる。
階段を降り、電車に乗り込んだ。意外にも乗客は多い。
起きている人、倒れかかっている人、若い人を見渡しながら、空いている席を探す。
誰も座っていない一角を見つけ座った。これほど早い時間でも空いている席をを探すとは。
電車は、これから支える頼もしい組、エネルギー切れ組が、混在する密度の高い空間だった。
6:25
最寄駅で降りた帰り道、川沿いを歩く。
川上に目をやると遠くが、霧でよく見えなかった。水面をはうように、白いもやの塊がが漂う。
周囲は、ゆっくり明るくなって陰影がはっきりした。東の雲が、うっすらオレンジ色に染まっていく。
空と呼応して、水面の霧が、そろそろと消えかかる。お疲れさま。
交代の時刻。街が騒がしくなるころだ。私も、眠ることにしよう。