2024-01-01から1年間の記事一覧

流れること

駅までの道を、歩いていた。 暗くなるにつれ、人が次第に増えてくる。 全てが、流れにとけ込んでいた。 時折、信号待ちで渦を巻いて立ち止まる。 そうして結局、みな同じ方を向き集まって波をつくっていた。 そして息苦しさから解放され、帰巣本能のままに、…

自然の道

今朝、意外に気温は低くない。車も走り出していた。 空き地は、雪が一面に残り真っ白いまま。 道路は、車の通った跡が筋となってアスファルトが見え始めている。 白い雪は、灰色の氷になり、少しずつ溶け出して黒い筋を作っていた。 滑らないように注意しな…

対照関係

インターネットの地図アプリで、能登半島を見た。想像してたより、大きな半島だった。 房総とよく似ている。縄文時代の痩せ細った半島にそっくり。 プロペラの羽を180度回した反対側の海に突き出た関係なんだな。 それで、佐渡島が、伊豆半島にあたるのだ…

朝一のタスク

「ティティティティティティ」「ブウォッ」 点火した。ヤカンをコンロにかける。 「ティティティ」「ブウォッ」 そおっとレバーを右へ、トロ火に設定する。 冷蔵庫から卵を二つとベーコン取り出した。 卵を2つ割って、プライパンへ投入する。同じくベーコン…

天のめぐみ

信号待ち。目にとまった花。小さな木に、いくつか梅の花が咲いていた。 小さくても時を刻んで、季節通りに咲いている。 桜は大丈夫だろうか。今年は、季節通りとはいかないかもしれない。 早咲きか。それが、暖かい季節への目印ならば、今年は早咲きがいい。…

簡単だけど近づけないこと

携帯で、パレスチナの子供の映像を目にした。 そこは、進行形の殺し合い空間。涙した。マスクを目元まで上げる。 簡単な話「人を殺しちゃいけない。」と理解している。 いや、本当は理解していないのか。私は、いつも遠い地域の他人ごとだ。 私は、目の前で…

交代

5:30 仕事を終えた駅までの道、人影はなかった。 昼間は見せない静かな広がり。辺りは暗い。 通り過ぎるコンビニだけが、切れ目のない勢いのある光を放っていた。 地下鉄の改札、出勤する人が数名でてくる。 階段を降り、電車に乗り込んだ。意外にも乗客…

穏やかな朝の音

「トトトッ」「タッ、タッ、タタ」、 「タッテ、タッテ、タッテ」「ポツ、ポツ」 目覚めから、雨の音がしている。私は、しばらく聞き分けていた。 「それ程強い雨ではなさそうだ。」 意識がはっきりしてくる。カーテン越しに明るさを確認した。 目覚ましに手…

帰宅後の楽しみ

「太陽、おはよう。」 私は、年末に買ったシクラメンに声をかけた。昼間は、室内から外へ出すことにしている。 私は、鉢を持ち上げた。虫がいないか蜂の下を見上げる。葉に隠れた次の蕾の大きさを覗き込んだ。順番に並ぶ小さな蕾達をみて、成長を感じ、喜び…

オイシイもの、マズイこと

テーブルの上に、何の変哲もなく、チーズ入りのパンがあった。 無条件に、袋から取り出す。見た目通り、チーズの香りが漂う。 ちぎりながらパンを頬張る。塩気、バターの風味、オイシイ。止まらなくなりそうだ。 「なぜ、テーブルの上にパンがあるのか?」 …

強き国の子孫

今日は、青空が広がっている。陽気に誘われて昼過ぎに散歩に出かけた。 日光が届かない場所は、少し雪が残っている。溶け出した水がアスファルトの上で凍っていた。反対に、日向は日差しが強く暖かい。太平洋側は、気候に恵まれていた。 土手に上がって遠く…

初雪

雪が降り始めた。 14時45分に、嫁と一緒に車に乗る。外は予定より早く、みぞれ混じりの雪となった。 15時、実家に着く。「ただいま。」「もう、出かけられる?」 「行けるよ」と準備万端。こちらが遅刻しないで何より。 今日は、母親の誕生日。私は「…

想い出せる記憶

「お酒はぬるめの」、「燗がいい」 電車で何度も心に舞い戻る、舟唄。青藍色のイメージで決まった映像付きです。 歌詞、テンポ、そして情景が脳裏に刻まれていた。 イントロも、それが出だしから、特別に惹きつけられることも覚えている。 思い出すと頭から…

心の瞬発力

今日は、お年寄りに席を譲る機会をいただけて、久しぶりに実行した。良かった。 電車で、お年寄りに席を譲るとき、私は例外なく心地が良く、幸福感につつまれた。 私は、席を譲ることができないときがある。後で決まって、罪の意識を感じた。 そうなることが…

神聖なもの

神宮近くの駐車場に車を駐め、鳥居まで歩いた。 鳥居は、遠くから見てもはっきり見え、笠木が空に反り返っていた。神の領域を主張するように威厳がある。 鳥居に着き、その脇で一礼した。大勢の参拝者。その流れに並び、手水舎で手水をとる。 本殿前で行列に…

季節感の損失

窓から見る青空に誘われて、午後から散歩する。散歩のコースは、土手を歩くことにした。 途中の道は、交通量もすでに普通に戻りかけていた。正月も終わりか。 余韻も残さず、過ぎ去った。社会は、切替が早い。 らしさを求めて土手へ向かった。 土手を登る。 …

徹夜明け

「ただいま。」と言いながら、玄関を入る。外から帰った体は、少し熱を感じてた。 階段を駆け上り、2階のソファに座る。窓から入る陽の光が顔に当たる。「ふっ」と息をはく。 体は少し前屈みに、緊張感が解けた。背中から腰かけて感じる重荷から開放される…

関心したこと

空は青空、遠くの方は白みがかっている。湿度は高いようだった。日陰に入るとやはり寒いが、日向では暖かい。 散歩に出かける。いつも通らない道を選んで歩いた。踏切を渡り角を曲がった、その先に空き地が広がっていた。 広場の奥の日当たりの良いところに…