徹夜明け
「ただいま。」と言いながら、玄関を入る。外から帰った体は、少し熱を感じてた。
階段を駆け上り、2階のソファに座る。窓から入る陽の光が顔に当たる。「ふっ」と息をはく。
体は少し前屈みに、緊張感が解けた。背中から腰かけて感じる重荷から開放される。同時に首から左肩にかけて、いつもと違う痛みに気付いた。
暖かい部屋の空気の音を感じるように、耳の奥で、高い音が鳴り響き始める。
「お帰りなさい。」
「ただいま。おはよう。」と返事をした。
「入れますよ。」と気遣う声。
既に沸かしてくれている。徹夜明けは、いつも決まって風呂に入るからだ。
立ち上がり、脱衣所に行った。そして風呂入った。身体がジリジリと感じる。
エネルギーを吸収するかのように全身気持ちよくなった。目を瞑って、しばらくすると、意識が薄くなりそのまま寝る。そして長風呂。
風呂から上がった後は、温まった体のまま、朝食もとらず、布団に直行した。そして、耳の奥で聞こえていた、音が薄れていった。