季節感の損失

窓から見る青空に誘われて、午後から散歩する。散歩のコースは、土手を歩くことにした。

途中の道は、交通量もすでに普通に戻りかけていた。正月も終わりか。

余韻も残さず、過ぎ去った。社会は、切替が早い。

らしさを求めて土手へ向かった。

土手を登る。

日の光が温かく、風はなかった。早咲きのなの花が、ちらほら見える。

温かさを先取りしていた。負けじと、もぐらの土の盛り上がりが沢山点在する。

生物は、正直だ。ここにも先取った春があった。

遮るものがない日向の道を真っすぐに進んだ。そして橋を渡る。

橋の上から見た川は、澄んだ水が静かに流れていた。

その流れに太陽が光をぶつけて、一面光っている。春先の心温まる光景がある。

そのまま、上へ目を向ける。あっ、遠くの山は霞んで姿が見えない。

見えるはずのものが、見えない。冬の一番大事な景色がない。

そこは、先取りしなくていいのです。残念。

何事も良いことばかりとは、いかないな。